時代を感じる表現
おこもりの日々なのに読書は進みません……。視力が衰えてからほんとに読書に気持ちが向かなくなってしまいました。
ひさしぶりに読んだのは宮部みゆきの『誰か』。あまり考えずに図書館で手に取った1冊です。奥付を見たら2003年の本でした。
主人公の杉村三郎は期せずして逆玉に乗り、義父の会社でグループ社内報を作る仕事をしています。その義父の運転手が自転車事故で亡くなり、犯人が捕まらないため娘が手記を出版したいということで、元編集者の三郎が相談に乗ることになったのが物語の発端です。探っていくうちに知らなかった事実が次々と立ち現れて……。
名手ですから何の引っかかりもなくするすると読めてしまいました。三郎より読者のほうが少し先を進んで読めて、でも真相はそのもう一つ奥にあり、それに気づくのは三郎、という感じ。ただその真相におお、納得というよりも後出しジャンケン感を感じてしまうのはなぜなんだろう。別につまらないわけではないんだけど。
あれと思って奥付を見なおしたのは喫煙場面が多かったから。時代ってこういう形で古臭くなっていくんですね……。