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May 2009

ひさしぶりのオサムシ

 手塚治虫のマンガは有名なためにどれも読んだことがあるような気がしてしまうのですが、実はどれを読んでいてどれを読んでいないのかは曖昧です。でもだいじょうぶ、読んだそばから忘れてしまうわたしなので(ってそういう問題?)。今日は金の星社の『鉄腕アトム』と、秋田書店の豪華版『ブラックジャック1』を読みました。テンポのよさは今でも抜群ですが、アトムもブラックジャックも意外と簡単に暴力をふるうのにと驚きました。ブラックジャックには婦人科系統の器官を削除したあと男として生きる話がありましたが、今だったらちょっと許せないかも。まったく古びてしまったというわけではなくて、やはり手塚治虫ってすごいと思う一方で、時代というのはあるんだなあと思いました。

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絵本いろいろ

 今日はなぜか絵本をたくさん眺める時間がありました。読んだのは全部で13冊。なかでも心に残ったのは『こやたちのひとりごと』です。ふだん見過ごしている掘っ立て小屋がこんなにいとおしく見えるとはびっくり。写真とことばの魔法ですね。あとアレン・セイの『紙しばい屋さん』に出てくる老夫婦の絵がすてきでした。小津さんの世界だわ~。正直、ちょっと押しつけがましいなあと思ったり、このレベルで出版してもらえるんだと思ったり、この翻訳はどうなのと思ったりする本もありました。まあ、みんながみんなわたしの一番である必要はないんだものね。そんな本がいいなあと思う読者の人もいるんでしょう。いろいろあるということもおもしろいものです。

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娘の本棚から

 ガリレオシリーズの『ガリレオの苦悩』を読みました。実は娘の本棚に発見したので、借りて読んだのです。このブログを始めたころはカボちゃんを読んでたあの娘がねえ……感慨深いものがありました。さて短編3冊目のこの本は、スタイルは今までと同じなのですが、登場人物のキャラがテレビドラマ寄りになっているのに驚きました。なによりドラマオリジナルだったはずの内海が出てるし! 第1作のころは、モデルが佐野史郎というのに納得できたのですが、今はどう読んでも福山ガリレオです。さすが売れっ子、東野圭吾だなあと思いました。

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恋は盲目がしあわせ

 『下り”はつかり”』も『ミステリ12か月』で紹介されていた1冊。これで紹介されていた本を20冊読んだことになります。少しは本格ミステリのことがわかってきたかな……って、ウソ、まだまだです。だって、編者の北村さん大絶賛の鮎川哲也センセのよさがあまりよくわからなかったんだもの。たとえばセーターを裏返しに着ていて奥さんがそれに気づかないということがあるのかしら、とか思っちゃうわたしなので。本格は気持ちよく騙されないとねえ。ただ読者としては厳しい目で見てしまうわたしも自分が作家志望だったら、きっと、よくこんなトリックを次々思いついたなあと思ってしまうとは思いました。そんな作家と読者の立場の違いが強く感じられる巻末の鼎談、おもしろかったです。こんなに好きになれるのってしあわせだろうなあ。ついつい読者の目で翻訳ものを読んでしまうわたしがプロになれないのも当然ですね。反省です。

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ガッツ注入!

 続いて読んだのは『この世でいちばん大事な「カネ」の話』。西原理恵子、たくましい! そしてしごくまっとうです。「大事なのは、単に「カネ」があるってことじゃない。働くこと、働きつづけるってことが、まるで「自家発電」みたいに、わたしがその日を明るくがんばるためのエンジンになってくれたのよ」のセリフがぐぐっと胸に迫ります。我が家もお金の話はいいよと及び腰なよくあるうちなんですが、「生きる力」不足と言われる今のこどもたちには、これくらいのガッツを注入しないとダメなのかなと考えさせられました。わたし自身への自戒にもなりました。もっと仕事に本腰を入れろってことっす(この年齢になってなにを言ってるんだと笑われそうだけど)。

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正統派児童書!

 『ウィロビー・チェースのオオカミ』を読んで、うわあ、ひさしぶりに正統派児童書を読んだなあという感じがしました。ドキドキワクワクハラハラ、でもあまりひねりがなくて、終わったあとは、へ、これでおしまい? みたいな。この感覚、古典ならではです。五感に訴える力もグッド。生きたガチョウの羽根ぶとんなんてくるまれてみたーい! 第1巻だけではオオカミをわざわざ登場させる意味もよくわからなかったけれど、その舞台設定はこれから生きてくるんでしょうかね。読んでいるあいだはとても楽しく、自分では続きも読んでみよう(あっさり読めるので)と思っているのですが、最近は身近な中学生に薦められるかなあこの本、という視点で読んでいるわたしとしては、その点は、うーん、ちょっとビミョーというのが正直なところです。小学校高学年なら楽しめるかな。

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錯覚させられちゃった

 絲山秋子待望の新作は『絲的サバイバル』。ひとりキャンプの脱力エッセイでした。そういえばこの人も芥川賞作家でしたね、忘れてた。家族キャンプが趣味という知人がいて、うわっ、なんかだめだ、こういう人たち、と内心思っていたのだけど、ひとりキャンプはいいかも……とちょっと思わせられ、でも撤収のくだりに、あ、やっぱりいいや、キャンプは、と考え直したのでした。同じように、最初はなーんだ、脱力エッセイかと思ったけれど、後半は純文学風だとかさまざまな書き口になって、プロっていうのはこういうのをさらりと書けてしまうんだと驚かされました。イラストが楽しかった!

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パラレルワールドにいるわたし

 人に薦められてひさしぶりに芥川賞受賞作を読みました。『ポトスライムの舟』はワーキングプア、ナガセの日常を淡々と描いた話。それとツガワが受けるパワハラを描いた『十二月の窓辺』と。どちらも今の自分の日常とはかけ離れた話でありながら、あのとき一歩違う方向に足を踏みだしていたら、こういうふうに生きていたかもしれないんだなあと思わせられるものがありました。そうそう、植物に疎いのでポトスライムがライム色の葉をしているポトスのことだとはタイトルを見たときには気づかず、スライムの一種かとなんだかねばねばした素材の舟を思い浮かべていたのでした。とんだ勘ちがいでした(笑)。

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先見の明もあり

 『ミステリ12か月』より次に選んだのは『遠きに目ありて』。名探偵が重度の障害を持つ車椅子の少年という設定です。でも安楽椅子探偵というばかりでもなく、現場にも連れていってもらうところがミソ。これは障害者の社会進出を願う作者のメッセージであるような気がしました。バリアフリーが浸透しつつある今ではなく約30年まえにこの作品を書いた天藤さんに拍手です。少年親子と接点となる刑事たちがみんな温かいので、読後感も二重丸でした。

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ご当地小説

 今日でGWもおしまい。結局連休中は『プリンセス・トヨトミ』しか読めませんでした。京都、奈良と書いてきたマキメの新作は大阪が舞台です。マキメの本が読めるのはうれしいけれど、帯の惹句に若干の不安……の予感は悪いほうに的中し、期待しすぎの結末でした。がっくり。それぞれのキャラは魅力的だし、場面場面の躍動感も楽しいし、お好み焼きもアイスクリームも美味しそうで小道具も満点なんだけど――なんだか全体の設定がしっくりこないのです。それは大阪がわたしにとって馴染みのない場所であることと大きく関係しているような気もします。ご当地ソングならぬ「ご当地小説」なんだけど、ひどく内に閉じているので、もう少し外様に訴えるものがあってもよかったかな、という感じ。会計検査院トリオの次の活躍に期待します(ってやっぱり期待しちゃう、マキメだから)。

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作品と舞台と小さな散歩

 鮎川哲也の短編集を読んでいます。「地虫」は霊南坂教会近くの洋館が舞台で、ちょっとアンデルセン風でした。こんな作品を書く人なんだと驚きです。ちょうどこの教会の近くで本を読んでいたので、短編を読み終えたあと教会まで足を伸ばしてみました。が、ががーん、こどものころよく遊びに行った教会はビルに姿を変えていて、続きは庭で読もうかなあなどともくろんでいたのもどこへやら、怖くてはいれませんでした。結局本はアークヒルズの小さな薔薇庭を眺めながら読みました。まったくこの近辺の様変わりといったら。それでも作品の舞台の近くにいることでお話が立体的に感じられたのは発見でした。短編集は連休中には読み終えられるかな。もう少しかかるかもしれません。

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だれか止めて――

 へらへらモードが止まりません。『美女は何でも知っている』は、林真理子がアンアンに連載している「美女入門」をまとめた1冊。『美貌と処世』と時期的には重なっているように思うのだけど、媒体が違うとこうも書きっぷりが異なるのかとプロのわざを見せてもらった思いがしました。忙しくて書き殴ったという感のある一連のエッセイは、PCを使わない文章の見本のようです。明日からは5連休。このうちにへらへらモードを立て直さねばと思っています。(と宣言してみる)。

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